自立と自立生活センター

   

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1.自立とは

1.自立とは
 
● これまで “リハビリテーション”界等 で “障害者の自立” と言うと、それは 『リハビリテーション(医学的機能回復訓練 … PT,OT,etc)等 によって、 「障害者が少しでも “健全者”(健常者) に近づくこと」』 とされてきました。 しかし、たとえば 『衣服の着脱のできなかった重度の障害者が、懸命のリハ
ビリテーションの結果として、2時間がかりで衣服の着脱ができるようになった』 として、それがはたして、その人にとってどれほどの益になると言えるでしょうか(?)。 一日24時間の中の2時間、すなわち一日の12分の1の時間を一回の衣服の着脱に費やして、そんな事で幸せと言えるのでしょうか …。 極端なことを言えば、入浴やトイレ等を含めて一日の大半を衣服の着脱に費やされるとしたら、そんな生活はマジメに “自立生活” と呼べるでしょうか …。 しかし日本はもとより、米国や、さらには “福祉先進地域” と言われていた北欧地域でさえも、障害者の自立に関しては、そのような “自立観” が20世紀後半においてさえも一般的だったのです。 このような “障害者自立観” の “根底” にあったもの、それは 『“障害” とは “疾病”(病気) であり、障害者は 「“医学的“ に “治療” を必要とする “患者”(病人)」 である』 という “障害(者)観” であり考え方でした。
 
● 1960年代初め、米国においてはアラバマ州モンゴメリーのバプテスト教会の牧師をしていたM.R.キング師をリーダーとする黒人の公民権運動が盛り上がっていましたが、1970年代初め、その影響を受けて一部の障害者が “自立生
活運動” に立ち上がり、その中から全く “新しい自立観” が形成されて行きました。 そして、それは今日、その流れを引く “自立生活センター” における基本的な “障害者自立観” として集大成されています。 その自立観とは、すなわち 『“障害” とは 「その人の “個性”」 の一部』 であって、ここに言う 『“自立” とは、すなわち 「自分自身の “生き方” は、自分自身の “意志” で決めて行くこと」 であり、それは 「“自分自身の人生” における “あらゆる事柄” において、それらを自分自身の “意思” に基づき、自分の “責任” において、自分で選び取って行くこと」 である』 という事です。 そして、それらの選択の中には 『どこで、どんな所に住むか (一般住宅 or 施設 …?)、何を食べるか、独身で行くか結婚するか、……… 』 という事だけではなく、そこには 『“善” だけでなく 「“悪” を選択する自由」 も含まれている』 ということです。 しかし、そこには 『善であれ悪であれ 「それを選択した結果として、どんな “実” が結ばれてくるか …?」 という “正しい情報” が提供されていること』 が必要です。

2.自立の根源
 
● 上記のような “自立観” の背景になっているものは米国独立宣言やフランス革命の人権宣言等に唄われている “人権思想” ですが、このような考え方は、一般には16世紀以後の近世 〜 近代ヨーロッパで生まれたと考えられています。 しかし 『すべての人間は、神の御前に 「“自由意志” に基づく自己責任により自己選択に基づいて生きて行くべき “主体的存在”」 である』 という考え方
は、実は約3500年ほど前に書かれたヘブル古文書である “旧約聖書” に述べられています。 すなわち、その創世記 ・ 第1章〜2章を読むと、そこには 『神が人を “神のかたち” に、そして男と女とに造られ、そして自己責任と自己選択に基づく 「主体的な “自立的存在”」 として造られた事』 が書かれています。 そして私たちは、これこそが 『自立の“本質的な根源”』 と信じるのです。

2.自立生活センターとは

1.定義
 
● ここで言う “自立生活センター” とは、ひと言で言うならば、それは 『障害者の、障害者による、障害者のための組織 ・ 団体』 となります。 一般地域住民を含めて自立志望障害者や高齢者等へのサービスを “自立障害者自身” が “主体” となった運営により提供し、障害者等の “自立” と “自立
生活” を直接的 ・ 間接的にサポートする事を、その “おもな業務” とします。 具体的には、自立志望障害者に対して “ピア・カウンセリング” や “自立生活プログラム”等 を通して助言し、その “自立生活” をバックアップして行くために “アテンダント”(有料介助者) を (養成して)派遣します。 そしてまた、何よりも 『“障害者” の “地域社会” における “自立生活” が 「“社会的” に “保障” され」 て行くため』 の “アドボカシー(権利擁護)活
動” を行ない、また “自立生活” に有用な “情報” を障害者等に提供したり、一般社会への啓蒙活動を行なったりして行くために機関紙やホームページ等による “情報発信” を行なって行きます。 なお “自立生活” は、英語では “Independent Living”(略記“IL”) と言
い、その “自立生活センター” は “Center for Independent Living”(CIL[スィル…シル]) と言います。

2.歴史
 
● 1960年代までの米国における “障害者福祉政策” の中心的な施策は、上記のような 『旧来の障害者観や自立観』 に基づくものであり、日本と同じように障
害者を “一般社会” から隔絶された “福祉施設” と呼ばれる “閉鎖的空間” に収容しようとするものでした。 すなわち 『すべての人間の “自由” と “平等” そして “機会均等”』 を “理想” とする米国社会においてさえも、ほとんど大部分の障害者は “事実上” そこから除外され、多くの障害者は閉鎖的な施設の中で一般社会から隔離された状態に置かれ、ほとんど 『人間としての “権利” を無視された生活』 を余儀なくされていました。 このような 『米国における 「“障害者” の置かれていた “状況”」』 を前にして、一部の障害者やその支援者はそんな現実に疑問を抱き始め、キング師等の “黒人公民権回復運動” に刺激され、その影響の下に彼らは 『“障害者” の “公民権回復運動”』 に立ち上がりました。 この運動は、具体的には 『障害者の “脱施設運動”』 として現われ、そして 『障害者も 「ひとりの “市民”」 として “地域社会” の中で生活して行くべきである』 という “自立生活運動” として展開 ・ 発展して行きました。 そして1972年、米国における自立生活運動の中心地になっていたカリフォルニア州バークレー市において、その拠点として世界最初の 『障害当事者が “主体” となって運営する “自立生活センター”』 が立ち上げられました。 やがて、この運動は全米に広まり、そしてまず俗に “先進国” と呼ばれる地域を中心に広まって行き、そして今日では言わゆる “発展途上国” へと広がりつつというある現状です。 この 『“自立生活センター” を拠点とする “自立生活運動”』 の “中心テーマ” は “権利擁護” ですが、その目標は 『社会における 「あらゆる “差別”」 をなくして行く』 というものです。その結果として、米国においては1992年、 “障害者版公民権法” として 『“一般社会” における “あらゆる公共的施設” での “障害者差別” を禁止する “ADA法”』 が成立して施行されました。 さて、この動きは1980年代初めの日本に伝わり、80年代半ばごろから東京 ・ 八王子市のヒューマンケア協会をはじめとして各地に自立生活センターが誕生し始め、1991年には各地の自立生活センターをサポートする “全国自立生活センター協議会”(JIL[ジル]:Japan Council on Independent Living Centers) が設立されました。 そして2004年5月末現在、日本では北海道から沖縄県まで全国で130の自立生活センターが設立されて活動しています。

3.全国自立生活センター協議会

1.活動の目的
 
● 個々の “自立生活センター” の “立ち上げ” と “活動” をサポートする.

2.おもな活動
 
A.自立生活センターに対して
  
a,個々の自立生活センター ・ スタッフの “人材育成” への支援.
  
b,ノウハウの提供 … マニュアルの作成、講師派遣、研修、等.
  
c,情報交換と交流 … 機関紙の発行、出版、交流会、等.
 
B.一般社会に対して
  
a,啓蒙活動 … 自立生活理念の普及、自立生活センターへの理解の促進.
  
b,障害者の権利擁護.
  
c,国際交流等の代表窓口、他の団体との連携と調整、等.
 ※ 詳しくは、下記の “全国自立生活センター協議会HP” をご覧ください.

3.役員
 
A.代  表… 1名.
 
B.常任委員…15名.

全国自立生活センター協議会HP

◆ もくじ    ◆ 更新情報   ◆ お知らせ (ご案内、ご連絡、etc)  ◆ 自立と自立生活センター    
 自立生活センター“いしずえ”概要     1.沿革    2.スタッフ紹介   3.組織   4.基本理念   5.センターの所在地と地図    
◆ 自立生活センター“いしずえ”活動   T.自立教育と自立生活支援   U.アドボカシー (権利擁護)     V.情報発信    W.介助者の派遣  X.ケアホーム   Y.小規模授産所および系列グループ通所作業所    
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